先日、岩国市の美川コミュニティセンターにおいて、美川地区の住民の方を対象にした地震防災講習会を行いました。
最初に
この地区は山に囲まれた地域で、古い木造住宅が多く存在します。
このことから、地震による建物倒壊危険や土砂災害危険が非常に高い地域といえ、近年地震が多発していることも重なり、美川地区の住民の方は、地震についての不安を常に抱えているという声を聞きました。
講習会では、参加された全員が最後まで真剣に聞いていただき、休憩中や講習会終了後もたくさんの質問があり、地震についての関心が非常に高く、防災について真剣に考えている地区だと感じました。
今回の講習会では、「防災対策」「避難対応」「シェイクアウト訓練」という3つの流れで進めていきました。
その中でも、この地区は古い木造住宅が多いことから、「耐震基準を把握したうえでの避難対応」についてを特に重点的に説明しました。
以下、内容です。
耐震基準とは
日本の住宅は建築基準法で定められた耐震基準によって建てられています。
耐震基準は以下の3種類があり、どの耐震基準で建てられたかによって揺れによる強さが変わります。
- 旧耐震基準:震度5強程度の揺れでも倒壊しない建物構造。
- 新耐震基準:震度6強~7程度の揺れでも倒壊しない建物構造。
- 2000年基準:新耐震基準よりもさらに頑丈な建物構造。
そして自宅がどの耐震基準で建てられているのかは、いつ建てられたかによって変わります。
- 旧耐震基準:1981年5月以前に建てられた住宅。
- 新耐震基準:1981年6月から2000年5月の間に建てられた住宅。
- 2000年基準:2000年6月以降に建てられた住宅。
耐震基準の違いによる建物被害
以下のデータは、熊本地震において、耐震基準によって建物被害がどれくらい違うのかを調査したものです。
「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会報告書」
2024年9月20日取得
✔ 旧耐震基準の建物は約50%が倒壊・大破
✔ 新耐震基準の建物は約20%が倒壊・大破
✔ 2000年基準の建物は約5%が倒壊・大破
耐震基準による避難対応の違い
このデータから、旧耐震基準と新耐震基準の住宅は、地震によって倒壊する危険が非常に高いといえます。
よって、地震時に旧耐震基準と新耐震基準の住宅にいる場合は、屋外に避難してください。
2000年基準の住宅にあっては倒壊危険が少ないものの、100%倒壊しないわけではありません。
よって、地震時に2000年基準の住宅にいる場合は、屋外または屋内の安全な場所(机の下など)に一次避難してください。
このように、耐震基準によって避難方法が変わるため、自宅の耐震基準を把握することが非常に重要だということが分かります。
屋外に避難できない場合(旧耐震基準及び新耐震基準の住宅)
とは言っても屋外に必ず避難できるかどうかは分かりません。その時の状況や身体的な問題等により、屋外に避難することが困難な場合もあります。
その場合は、デルタゾーンに避難してください。
デルタゾーンとは、柱が存在する三角形のスペースのことをいいます。
地震による生存者の多くは柱の近くで発見されることがあります。
その理由は、地震によって建物が倒壊しても、柱によって生存できる空間が確保できるからです。
このデルタゾーンは、家の角や玄関などに存在します(家の角や玄関には頑丈な柱があるため)。
家のどこにデルタゾーンがあるのかを事前に把握することが非常に重要です。
最後に
山口消防防災探究会は「災害に強い地域を作る」、そんな熱い思いを持った人達が集まった団体です。
災害に強い地域を作るためには、私達だけでなく、地域の皆様、一人一人の力が必要です。
だからこの輪をもっと、もっと広げたいと思っています。
防災に興味のある方、講習会の依頼をしたい方は、ぜひ気軽にホームペーやインスタ等から連絡してください。
喜んで皆様に会いにいきます。
私達と一緒に災害に強い地域を作りましょう!
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