先日、岩国市立杭名小学校で、火災対応講習会を実施しました。
私達が行う講習会は、「自分の命は自分で守る」ということにテーマを絞った内容となっています。
そのため、通常の消防訓練とは違い、自身が火災に遭ったことを想定したセルフサバイバルスキルを身に付けるための内容となっています。
以下、講習会の内容を少し紹介します。
火災の類似体験


火災で亡くなる人の原因のほとんどが、「煙」です。
だから火災で怖いのは「炎」よりも「煙」であり、煙を吸わないためには「ハンカチなどで口と鼻を覆うこと」と「低い姿勢で逃げること」の2つが重要です。
ですが、そのこと自体は小学生でも知っている常識です(講習会の中で質問してみましたが子供達全員が知っていました)。
では、なぜ、煙で亡くなる人がたくさんいるのでしょうか。
それは、「逃げ道を見失う」からです。
つまり、どこに逃げたらいいのか分からなくなり、迷っている間に、煙を大量に吸ってしまい亡くなってしまうということです。
このことを理解するために、実際に火災を類似体験してもらいました。
火災の映像に合わせて、スモークマシーンで煙を発生させ、自動火災報知設備の音を鳴らし、その後、停電想定で電気を切り、真っ暗な状態にしました・・・
ほとんどの子供達が出入口を見失う恐怖を感じていました。
では、どうすれば迷わずに逃げることができるでしょうか?
それは「誘導灯を見つけろ」です。
火災が起きると誘導灯が点灯します。停電しても20分間は点灯します。なので、火災に遭ったときは、この誘導灯を見つけて避難することがとても重要です。
体験した子供達は、火災の怖さと誘導灯の大切さを、十分に学んでくれました。
煙の中での避難方法


その後は、煙の中での避難方法を学びました。行うのは「アヒル歩き」と「ワニ歩き」の2つです。
簡単そうに見えて実際にやると実は難しいです。なぜなら、煙を吸わないように、迷わないようにするには、歩きながら両手を常に使うようになるからです(片手でハンカチを当て、片手で壁を触る)。
この状態でうまく歩くためには、やはり意識して訓練しないと難しいです。特に「ワニ歩き」は難しいので、結構な訓練が必要になります。
子供達にはしっかりと訓練した後、できるようになってから、実際に煙の中で「アヒル歩き」と「ワニ歩き」を体験してもらいました。
想定訓練

最後は、先生は全く手を出さず、子供達だけで避難訓練を行いました。
火災のベルと放送が鳴ったら、まずは出火室と自分の位置を把握し、避難場所を決めます。
そのため、情報収集スキルと避難経路を考えるスキルが必要です。
そして、避難する際は、誘導灯の意味や防火戸のくぐり戸の使い方なども分からなければ、避難することはできませんので、最低限の消防用設備等の知識も必要です。
高学年を中心に、みんながワンチームになり、無事、グランドに避難することができました。素晴らしい!
さいごに
みなさん、学校の避難訓練がただの定例行事になっていませんか。
訓練参加者が考えることを止めた瞬間、その訓練は形だけの訓練になってしまいます。
何のための訓練か。訓練は本番を想定したものでないと意味がありません。
「お・は・し・も」だけでは自分の命を守ることはできません。
私達は、子供達に、自分の命は自分で守ることができる大人になってほしいと心から思っています。
そのためには、訓練参加者が主体的になって考えることができる訓練を企画しなければいけません。
ぜひ、私達と一緒に訓練しましょう。気になる方は、ぜひ気軽にホームページから問い合わせてください。よろしくお願いします。