この場で、みなさんに重大な報告があります。
山口消防防災探究会は、日本の震災救助技術向上のために、USAR(ユーサー)という分野に本格的に取り組んでいきます。
もちろん、これまでの活動も継続していきます。
ところで、「USARって何?」と思った方も多いのではないでしょうか。
「Urban Search And Rescue(都市型捜索救助)」の略で、地震などによる倒壊建物から要救助者を助けるための救助技術全般を指します。 (本来はもっと広い意味がありますが、ここでは割愛します。)
つまり、USARは地震大国・日本にとって不可欠な救助技術です。
日本の震災救助技術の現状

では、日本のUSARの現状はどうなっているのでしょうか?
現役17年目の消防職員として私が感じているのは、USARを実践できるのはIRT(国際消防救助隊)などごく一部の消防職員のみであり、大多数の消防職員がUSARの技術を学ぶ機会すらないということです。
事実、私自身も山口県内でUSARのスキルを学ぶ機会はほぼありませんでした。
自主勉強会などで集まった消防職員のほとんども、USAR未経験者でした。
このままでは、南海トラフ巨大地震のような大規模災害が発生した場合、日本の消防はUSARのスキルをほぼ持たないまま災害対応に当たることになります。
これは非常に深刻な問題です。
最前線で救助を行うのは誰か?

大地震が起きたとき、最初に救助活動を行うのは警察でも自衛隊でもありません。
最初に現場で活動するのは、地元の消防職員や消防団員です。
だからこそ私は、「消防=地元のヒーロー」だと考えています。
もし自分がその場にいたら、絶対に助けたい。
いつどんな状況でも要救助者を助けられる消防職員でありたい。
そのためには、USAR技術をもっと多くの消防職員・消防団員に伝えなければならない。
しかし、中途半端な覚悟では何も変えられません。
豊富な知識と洗練された技術がなければ、人を助けることはできないのです。
だからこそ、私は決意しました。
誰よりも強い覚悟を持ち、誰もが納得する圧倒的な知識と技術を身につけることを。
そして、その第一歩として私は、USAR発祥の地・アメリカでの研修に参加しました。
後編では、アメリカでのUSAR研修の詳細と、私が学んだことについてお伝えします。