実際の木造在来工法の建物で、本当に現場で使える技術を学ぶ


令和8年5月17日、山口消防防災探究会主催による第5回 US&R研修会(木造ショアリング実践編)を開催しました。
今回の研修会は、中国地方では初となる、実際の解体予定木造建物を活用した実践的なショアリング訓練として実施しました。
午前は座学にて、木造倒壊建物におけるショアリングの基本、安全管理、活動の考え方を学び、午後は実際の現場に移動し、実践訓練を行いました。

山口県内だけでなく、大阪府や滋賀県といった遠方からも参加してくださり、災害に備える強い危機感と、人命救助への熱い想いを持った仲間が集う、大変意義深い研修会となりました。
今回あらためて強く感じたのは、実際の木造在来工法の建物で訓練することの重要性です。
ショアリングは、座学や整った訓練環境で基本を学ぶことはできます。

しかし、実際の災害現場では、基本どおりにいかないことの方が圧倒的に多く、現場では「基本を土台にした応用力」が求められます。
特に、実際の木造在来工法の建物だからこそ見える課題があります。
例えば、
- 天井板を破壊し、構造部材である梁へ直接ショアリングを設定する要領
- 梁が斜めに変位している場合、隙間をウェッジ等で適切に埋め、確実に支持できるようショアリングを設定する要領
- やむを得ず畳の上でショアリングを設定する際、荷重を分散させる工夫
- 狭隘空間での資機材搬入や作業姿勢の制限
- 粉じん、視界不良、障害物など、活動を阻害する現場環境への対応
こうしたものは、訓練施設や整った環境では再現しきれません。
実際の木造在来工法の建物には、その建物ごとの構造、変形、空間条件があり、同じ現場は一つとしてありません。
だからこそ、基本技術を身につけたうえで、それを現場に合わせて応用する力を養うことが極めて重要です。
ショアリングは、ただ木材を組んで支える技術ではありません。
自隊の安全を確保し、要救助者へ安全に到達するための“命を守る技術”です。


南海トラフ巨大地震の発生が懸念される今、私たちに必要なのは、「知っている」ことではなく、本当に現場で使える技術を身につけること。
だからこそ、こうした実践的な訓練に価値があります。
山口消防防災探究会は、これからもUS&R技術の普及と実践的な訓練を通じて、災害に強い地域づくり、そして一人でも多くの命を救う備えを進めてまいります。
ご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました。
共に護れ!

