令和8年1月26日(月)・27日(火)、防災みやこんじょ主催のもと、宮崎県都城市および鹿児島県曽於市で開催された木造ブリーチング研修に、山口消防防災探究会 代表・森重が参加させていただきました。
本研修は、今後山口県内で木造ブリーチングを実施・普及していくための準備として参加させていただいたものです。
研修概要
1月26日(月)〈座学〉

木造建物の構造、倒壊メカニズム、災害現場における進入・救助の考え方など、実災害を踏まえた内容を学ばせていただきました。
1月27日(火)〈実技〉




実際の木造建物を使用し、
- 屋根ブリーチング
- 床ブリーチング
- 押し下げによるボイド作成
など、実践的な木造ブリーチング訓練を行いました。
研修参加の背景
能登半島地震で亡くなられた方(直接死)のほとんどは建物倒壊が原因です。
その内訳として、約4割が圧死とされています。
圧死は、建物倒壊の衝撃による即死であり、発災後に救助が到達する以前に命を落としてしまうケースが多いことから、日頃から家具固定や住宅の耐震化といった「自助」によって被害そのものを防ぐことの重要性を強く示しています。
一方で、約3割は窒息死・呼吸不全・凍死・低体温症で亡くなられています。
この約3割は、倒壊後も一定時間は生存していた可能性が高いことを示しています。
つまりこの数字は、要救助者に迅速に接触することができなかったという現実を突きつけています。
もし早期にブリーチングによって進入口を設定し、要救助者に接触できていれば、
救える可能性は確実にあったのではないか――
そう考えさせられる数字です。
木造ブリーチングの意義


木造ブリーチングは、限られた人員・資機材の中で、救助活動の起点をつくるための極めて重要な技術です。
ブリーチングを行うことで、
- 要救助者までの距離を短くできる
- 要救助者の搬送距離も短くすることができる
- 緊急脱出がかかった場合でも、最短距離で安全に撤退できる
という大きな利点があります。
一方で、倒壊建物内に進入できそうな箇所を探し、そこから屋内に進入して盲目的に要救助者を探索する行為は危険であり、非効率です。
だからこそ、
- 要救助者の位置が推定できる場所
- 救助活動の起点となる場所
を見極め、そこに進入口(開口部)を設定することが重要になります。
適切な位置にブリーチングを行うことで、活動はより安全になり、かつ効率的になります。
安全に行うために必要な視点

一方で、ブリーチングは二次倒壊のリスクを高める可能性がある行為でもあります。
そのため、
- 建物構造を熟知し、切断してはいけない部材を理解すること
- 建物評価を行い、どこにどのような進入口を設定するのか判断すること
- チェーンソー等の資機材を適切に取り扱うこと
- 踏み抜き等の新たな危険箇所を作らないため、開口部設定時は「枠でとらえる」こと
これらを理解せずに行うブリーチングは、救助ではなく危険行為になりかねません。
確信に変わった想い
木造ブリーチングの必要性は以前から感じていましたが、今回の研修を通じて、その想いは確信に変わりました。
このスキルがなければ、助けることができない命がある。
今後に向けて

今後は、今回学ばせていただいた木造ブリーチングの考え方と技術を、山口県内の消防士・消防団へ伝え、災害に強い地域を全員でつくっていくことを目指します。
最後に・・・
DGR119 坂田ジョージ様、防災みやこんじょ様、このような貴重な学びの場に参加させていただき、誠にありがとうございました。
また、資機材の貸出し・ご提供をしていただいた、マキタ様。ありがとうございました。
無知は罪
災害は、待ってくれません。
南海トラフ巨大地震は、いつ発生してもおかしくない状況です。
知らなかった。
学んでいなかった。
備えていなかった。
その結果、救えたはずの命を救えなかったとしたら――
無知は罪です。
これからも山口消防防災探究会は、現場で本当に使える技術を伝え続けていきます。

