この夏も、県内7つの学校で、山口ラッコ隊様と協力し「ういてまて講習」を行いました。
「ういてまて」とは?
みなさんは、この「ういてまて」というワードを聞いたことがありますか?
おそらく、ほとんどの方は聞いたことがないと思います。
「ういてまて」とは、水の事故に遭ったときに、浮いて救助を待つサバイバル技術です。
やり方としては、大きく息を吸って水面上で仰向け(背浮きの状態)になり、呼吸しながら、浮くという方法になります。
詳しくは、当探究会のYoutubeを見て頂ければ、原理や方法、注意点などが理解できると思います。
県内の学校に広報を実施
私はこの「ういてまて」を広めるため、毎年5月ごろから県内の学校に訪問し、ういてまて講習を受講していただけないか広報しています。
そして、ほとんどの場合「初めて聞きました」「今年は難しいので、また機会があればお願いします」というような反応が返ってきます。
県内ではまだまだ認知度も危機感も低いのが現状です。
消防士でも救える命はごくわずか
かくいう私も、この「ういてまて」に出会ったのは、消防士として活動した数年前のある事故がきっかけでした。
事故があったのは、ちょうど夏休みの時期です。
子どもが川で流されたと通報があり、現場で救助活動を行いました。
その子をすぐに陸へ引き揚げることができ、懸命に救命処置を行いましたが、残念ながら亡くなってしまいました。
そのとき感じたのは、無力さです。
人命救助のために消防士になりましたが、自分が消防士として救える命は、本当にわずかだということを感じました。
このことがきっかけで、「ういてまて」を知りました。
水の事故が起きた場合、私たち消防士が現場に着くまでには相当な時間がかかっています。
(※救急車が119番通報から現場に到着するまでは全国平均で約8分です)
そのため、よっぽどの条件が整わない限り、溺れた要救助者を救命するのは難しいです。
だからこそ、助けられる命を助けるためには、溺れてしまった人ができるだけ長い時間浮いて待つことが必要です。
そのことを多くの人に知ってもらうため、毎年ういてまて講習を行うようになりました。
受講者と皆さんに伝えたいこと
「ういてまて講習」を受講したみなさん、そしてこの記事を見た方に伝えたいことが3つあります。
1.ライフジャケットの着用
1つ目は、川や海に遊びにいくときは必ずライフジャケットをつけるようにしてください。
ライフジャケットがあれば誰でも簡単に浮くことができますし、いざというときには、必ずみなさんの命を守ってくれます。
2.「ういてまて」を体で覚える
2つ目は、「ういてまて」を体で覚えてください。
そのためには、繰り返し練習することが必要です。
溺れた時は絶対に誰でも慌てます。
だからこそ、慌てていることを前提に、体で覚えることが必要です。
体で覚えていれば、いざというときに必ず役に立ちます。
3.「ういてまて」を伝える
3つ目は、自分にとって大切な人に「ういてまて」を伝えてください。
友達、家族、自分にとって大切な人みんなに、「ういてまて」の大切さを伝えてください。
多くの人にこの「ういてまて」を伝えることが、たくさんの命を救うことに繋がると信じています。
まとめ
山口消防防災探究会では、山口県内の水の事故をゼロにするため、これからも「ういてまて」を広め続けていきます。
興味のある方は連絡をください。