市内地域の方を対象にした防災訓練を実施

先日、市内の中学校をお借りして、小・中学生及びその保護者と地域の方に向けて、「洪水災害・土砂災害」をテーマに座学60分、実技50分の防災訓練を行いました。

当該地域は、洪水災害と土砂災害の危険が非常に高い地域であり、毎年のように、大雨による影響で、警戒レベル3~5が発令されているような地域です。

また、早い段階で冠水や崖崩れなどにより道路の通行ができなくなり、孤立する地域でもあり、早い避難がとて重要な地域であるといえます。

そこで、今回の訓練では、

  • 情報を集めて、早めに避難できるようになる。
  • 浸水被害を最小限に抑える。

この2つの目標を設定し、座学と訓練に臨みました。

目次

洪水災害・土砂災害から命を守るために重要なこと

これまで当探究会では何度も伝え続けていますが、洪水災害・土砂災害から命を守るために最も重要なのは、「早めの避難」です。

ですが、なかなか行動に繋がらないのが現状です。

そのため、まずは、当該地域で発生した過去の災害とハザードマップをもとに、なぜ早めに避難しなければならないのか、どうすれば早めの避難ができるのかを考えていただきました。

そして、そのうえで、早めの避難を行動に繋げるためには、避難の計画となる「避難カード」が重要だということをお伝えしました。

洪水災害発生時の行動や情報収集の方法について(クイズ形式)

次に、洪水災害発生時の行動や情報収集の方法などについて、クイズ形式で参加者に答えていただきました。

その中で、避難する際の判断材料として、「キキクル」(気象庁提供)を見ていただき、今現在の危険状況を確認できるものとして有効であることを伝えました。

また、避難先は地域や環境によって違い、避難行動が危険な場合は在宅避難も立派な避難となり得ることも伝えました。

その際は垂直避難(家の高いところへ避難する)が重要になります。

目的は命を守ることなので、避難所が浸水想定地域であれば災害の種類によって避難先が変わることも理解していただきました。

避難カード作り

座学を通じて、住んでいる地域の危険なところをハザードマップで確認しながら、各家庭、参加者にご自身の避難カードを作っていただきました。

※山口防災学習館ホームページより

時間内に全てを作成することはできませんでしたが、非常持ち出し品の所では薬・メガネ・子ども用品など、避難先に置いていない自分だけのものを認識して記入していました。

また、今回の避難カード作りで、「避難するタイミングを家族で統一できた」「避難先を複数確認(ホテルなど)できたためよかった」といった声も聞くことができました。

土のう作成訓練

続いて実技を行いました。

土のうは、家屋の浸水被害を最小限に抑えられる道具として、非常に有効なものとなります。

簡単に作成でき、効果も高いため、避難する前の早めの段階で設定することが重要であると伝えました。

今回の実技では、「土のう作り」と「土のう積み」の2つを行いました。

土のう作りでは、2人で1つを作成するやり方が一般的とされていますが、この度は広島プラダンさんのご厚意もあり、プラダンを使用して自立させたシートを使い、1人で土のう作りができる体験をしていただきました。

参加者の方からは、「軽量で手軽」「たくさんあると手分けしてできるから使い勝手がいい」といった感想がありました。

逆に、「どれだけ土を入れたらいいかが上手くつかめずに、土を多く入れてしまった」といった体験を通じて感じる声もありました。

土のうを作る時のポイントは3つあります。

  • 柔らかく、大きい石がない土を使用する。
  • 土を土のう袋の半分(5~6割)を目安に入れる。
  • 簡単にヒモが解けないように固く結ぶ。

土のうを作ったあとは、浸水を防ぐために積み上げていきます。

以下、積み方のポイントです。

  • 土のうを積みたいところにブルーシートを敷く。
  • 家側に結び目が向くように並べていく。
  • 並べる際は、土のうが4分の1程度重なるようにする。
  • 1段を積み終えると、踏み固めてできるだけ平坦にする。
  • 1段目の土のうの間に置くように並べていく。
  • 最後にブルーシートで土のうをくるむ。

土のうを積み上げる際、参加者の中で指示役の人がいたり、踏む担当の人がいたりとその場で役割を決めてイキイキと訓練に取り組む姿を見て、地域コミュニティの力強さを感じさせていただきました。

土のうを積んだ後は、当探究会が準備したポンプを使って、積んだ土のうに対し放水を行い、浸水しないかの確認を実施しました。

結果、浸水することなく、参加者から拍手があがり、土のうの有効性を体験していただけました。

最後に

よく、避難しても結局何も起こらず、損した気分になったりします。これを「空振り」とよく表現されます。

たしかに、避難をしても、被害はほとんどなかったということはよくあります。

しかし、そこで、「どうせ今回も被害は起きないだろう、避難しても空振りに終わるだろう。」と考えてしまうと、早めの避難はできません。

だから「空振り」ではなく「素振り」と考えてください。

早い避難を確実にできるようになるためには、この「素振り」を何度も何度も繰り返しやることが必要です。

「素振り」という考えであれば、例え、何も被害が起きなかったとしも

本番を供えたよい訓練になったという考えになります。

今年も大雨で避難しなければならない状況になると思います。

そのときは、今回作った「避難カード」を使い、ぜひ「素振り」をやってほしいと思います。

そして、助かる命、救われる笑顔が1つでも増えることを強く願っています。

山口消防防災探究会は、これからも災害に強い地域を作るため、より多くの人に、全力で防災を伝えていきます。

防災訓練を依頼したい方は、ぜひ私達にお任せください。

あなたの地域を、必ず災害に強い地域に変えてみせます

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