能登半島地震に伴う災害支援活動

4月中旬、山口消防防災探究会では、能登半島地震で被災した石川県珠洲市に会員を派遣し、災害支援活動を行いました。

現地では、「災害ボランティア 愛知人」さんと合流し、貴重品出しや屋根のシート張り等を行いました。

そのときの活動状況について報告します。

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目次

被災地の状況

最大震度7を観測した能登半島地震から4カ月経ちますが、石川県珠洲市では、倒壊した建物はほとんど手をつけられておらず、テレビで見た状況のまま、まるで時が止まったような悲惨な状況でした。

また、珠洲市では、ほぼ全域で断水が続いており、仮設住宅も需要を満たしていないことから避難は長期化し、いまだ過酷な状況が続いている状況です。

テレビで被災地の状況は見て知っていましたが、実際に見ると、あまりにも悲惨な状況に胸がえぐられるような辛さを感じ、言葉では言い表せないような、むなしい気持ちになりました。

地震と津波の影響で町のほとんどの建物が倒壊し壊滅状態でした。

自然の力を前に、人の力はあまりにも無力なのだと感じさせるような無残な状況でした。

2階建て木造家屋の多くは、1階部分が完全につぶれている状況でした。

その中で消防が進入した形跡も残っており、現場の過酷さを物語っていました。

道路の各所で地面からマンホールが飛び出していました。

液状化の影響とみられる現象で、中には人の背丈ほどの高さが出ているものもありました。

災害支援活動

災害ボランティア 愛知人

現場では、「災害ボランティア 愛知人」さんと合流し、主に「倒壊家屋内での貴重品出し」や「屋根のシート張り」といった活動を行いました。

活動の種類としては、専門ボランティア活動(プロボノ活動)に位置付けされるもので、一般ボランティア活動に比べると危険度が増し、専門的な知識や技術が必要となります。

そのため、特に安全面には注意して、活動を行いました。

以下、活動内容です。

⑴ 倒壊家屋内での貴重品出し

【依頼内容】

全壊の自宅から、パソコン、スマホ、パスポート、財布等の貴重品を出してほしいという内容です。

すでに公費解体が決まっている建物ですが、重機での解体をしてしまうと、貴重品がどこにあるのか分からなくなります。

だからといって、倒壊建物内に入って貴重品を探し出すのは困難であり危険も伴います。

そのため、専門ボランティアに多くのニーズがあり、今回の依頼を受けることになりました。

【活動内容】

まずは余震等による家屋の倒壊を想定し、進入する前に、避難場所と避難合図を決め、危険を感じたらすぐに決められた方法で退避するよう、全員で共通認識を持って活動に当たりました。

チェーンソーで2階の外壁を破壊し屋内に進入、さらに部屋内の物品を屋外に出すための搬出ルートを確保しました。

破壊と部屋内の物品の搬出を繰り返しながら、依頼品を捜索しました。

足場が悪く、狭隘な空間での活動は非常に困難でした。

また、破壊を行う前には、梁や柱の加重がどこにかかっているかなどを確認したうえで影響のない箇所を見極める必要があり、慎重な活動が求められる現場でした。

最終的には、依頼されていた貴重品を全て見つけることができました。

⑵ 屋根のシート張り

【依頼内容】

被災した屋根の修理ができるまでの応急処置として、屋根上にシート張りを行ってほしいという内容です。

屋根の雨漏りは家に大きなダメージを与えるため、いち早く雨漏りを止める必要があります。

しかし、依頼が多数あるのに対し、修理業者が不足していることから、現状、修理するには何か月も先になります。

そのため、専門ボランティアに多くのニーズがあり、今回の依頼を受けることになりました。

【活動内容】

棟に設定した親綱に小綱を取り付け、作業姿勢をとりながら、シートを張りました。

シートはできるだけ長持ちするように、屋根とシートの間に空気が入ってめくり上がらないようしっかり張り、シートの端を固定しました。

また、高所での作業となるため、資機材の落下防止はもちろん、作業姿勢もかなり意識して行いました。

高所での作業工程や作業時間をできるだけ少なく、シンプルに行うためには、地上での作業計画と段取り、そしてチーム全体での共通認識が、とても重要となるということを、改めて実感した活動となりました。

最終的に、屋根のシート張りを無事、終えることができました。

感じたこと

活動が終わったあと、ある依頼者から、こんな言葉をいただきました。

「災害で多くのものを失いました。でも、災害のおかげでこんなにも温かい人達に出会えました。そのことは幸せに思います。本当にありがとうございました。」

今回、私達が行ったことは、ほんの小さなことかもしません。

ですが、人を想い、共感し、一つ一つ丁寧に活動することが、こんなにも被災された方々にとって、大きな心の支えになるのだと感じました。

ボランティアに来て本当によかった、また行きたいと心から感じました。

まだまだ、復興までには時間がかかるでしょうし、大変な道のりだと思います。

しかし、だからこそ、相手のことを想い、協力し合うことが大切です。

これからも、山口消防防災探究会は、能登半島地震で被災した全ての人達のために、全力で、できる支援を行います。

私達と一緒に活動したいという方は、ぜひ連絡をください。

共に頑張りましょう!

さいごに、今なお現地で災害支援活動を行っている皆様の安全と、被災地の一日も早い復興を、心よりお祈り申し上げます。

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